遺品整理で見つかる鑑定が必要なもの

  • 遺品の買取

家族が亡くなり、そろそろ遺品整理に着手しようとしている方は、鑑定が必要な遺品には十分注意してください。

金銭的に価値が高い遺品なのに、そうとは思わずに誰かに「形見分け」してしまうと、その遺品を受け取った人に納税義務が生じてしまうかもしれないからです。遺品の種類によっては、それを「受け取ること」が「所得を得たこと」になってしまうのです。

所得を得た人は所得税を納付しなければなりません。

また終活をしている人は、自身の「遺品になるもの」を鑑定しておいたほうがいいかもしれません。遺品を受け取る人は、その金銭的な価値をとても気にするからです。

遺品と相続財産は違います

遺品とは個人が遺(のこした)した製品や商品や物品のことで、骨董品や時計や家電や趣味のもののことです。

現金や不動産、株券などは相続財産となり、遺品整理の形見分けとは区別して、相続の対象として取り扱わなければなりません。

しかし遺品と相続財産の区別はあいまいなところもあります。

例えば、故人が身につけていた1万円の腕時計は遺品であり、それを遺品整理のなかで形見分けしても、法律も税金も介入しません。単なる「真心の受け渡し」にすぎないからです。

しかし高級腕時計のコレクターだった富豪が亡くなった場合、ダイヤがちりばめられた1,000万円の腕時計は相続財産となり、法律や税金が介入してくるのです。

したがって遺品整理の責任者となる親族は、高価そうなものを鑑定しておかなければならないのです。

遺品の代表例1:壺や掛け軸などの骨董品や絵画などの美術品

高価そうな遺品の代表格といえば、壺や掛け軸などの骨董品や油絵や、彫刻などの美術品でしょう。故人が正式な美術商や画廊などから骨董品や美術品を購入していた場合、遺品整理する前に鑑定しておいたほうがいいでしょう。

ただ鑑定には1品数万円の鑑定料がかかります。ここで注意したいのは、査定と鑑定がまったくの別物である点です。

鑑定は、その道の専門家が、それが本物であることを証明する行為です。したがって鑑定してもらった後に「鑑定書」が発行されます。鑑定書がつくことによって、壺や絵画に経済的な価値が加わります。

一方の査定は、任意の人が購入金額を決める行為です。例えば、本当は50万円の価値がある壺でも、査定の場合5,000円がつくことがあります。

もし売主がその壺の価値を知らず、「燃えないゴミとして捨てるくらいなら少額でもお金に換えておきたい」と判断したら、その壺は5,000円で譲渡されます。

骨董品や美術品などの遺品を整理をする人は、本当に鑑定が必要なものだけを選ばなければなりません。

遺品の代表例2:おもちゃ、貴金属、宝石など

古いブリキのおもちゃのなかには、十分財産になりうるものもあります。

おもちゃに限らず遺品が財産になるかならないかの境界線は30万円となっています。

税務署は1個または1組の遺品の価値が30万円以下の遺品を受け取っても、譲渡所得が発生したとはみなしません。

おもちゃのほか、貴金属、宝石、絵画、骨董品にも「30万円ルール」が適用されます。

つまり、大量のおもちゃや貴金属、宝石、絵画、骨董品があっても、1品の価値が30万円以下のものであれば、次々形見分けしていっても問題ないということです。

それらを受け取った人に課税されることはありません。

遺品の代表例3:金の地金

貴金属と似ているのですが、金の地金には「30万円ルール」は適用されません。

金の地金は価格にかかわらず相続財産に加えなければなりません。

そして形見分けで金の地金を受け取った人は、その金銭的な価値分の譲渡所得にかかる税金を支払わなければなりません。

遺品の代表例4:洋服や家具、家電、趣味のもの

故人の洋服や家具、家電、趣味のものは法律的には生活用動産と呼ばれ、譲渡所得にはカウントされません。つまり無税です。

ただもし1品30万円以上の価値がある場合は、30万円ルールが適用され、30万円超の遺品を受け取ったら所得税が発生する可能性があります。

まとめ~「高価そう」な遺品の整理は専門家に相談したほうが無難

悪意がある人なら、遺品整理や形見分けを使って脱税することができます。例えば遺品整理をしている人がある茶碗について、高価なものと知りながら「故人はこれでご飯を食べていたので日常雑器」と言い張り、相続財産に加えず自身への形見分けにすれば、相続税を回避できます。

しかし税務署から相続税の税務調査が入ったら、それは脱税とみなされ罰せられます。

では悪意でなかったらどうなるのでしょうか。悪意がある場合よりは罪は軽くなりますが、悪意がなくても脱税は脱税です。相続税逃れは「知りませんでした」が通用しません。

遺品のなかに高価そうなものがあったら、プロの遺品整理業者にどのように扱うかを相談しましょう。

確かな知識と経験を持った遺品整理業者であれば高価買取を提案してくれるかもしれません。