遺品整理ってどれくらい時間がかかる?
遺品整理を自分で行う場合にかかる時間は個人差が大きいため、一概に算出するのは難しいものです。スムーズに遺品整理を行えて数週間から数カ月、週末ごとに実家に帰って整理を行った人の場合は半年から一年ほどかかったというのが一般的です。
なかには、途中で気が滅入ってしまった、体調を崩して中断したままという声もあります。遺品整理はなぜこれほど時間がかかるものなのでしょうか。今回はその理由と、業者に依頼した場合の所要時間について説明します。
遺品整理に時間を要する理由
遺品整理とは、故人の所有していた動産物全般の整理のことです。自動車やバイクなどを所有していた場合は、下取りに出したり、廃車手続きを行ったりしなければなりません。そのほかの衣類、電化製品、家具などは買取り、寄付、処分などに仕分けしていくことになります。引っ越しや片付けと遺品整理の大きな違いは、遺品整理は故人の思い出を整理し見送る作業であるということでしょう。
残された家族で故人の話をしながら整理できれば、それが故人にとって一番の供養になると考えられます。しかし、実際は賃貸物件であったり、場所が遠方であったりするなど時間的・地理的な制限があるため、思い出に浸る余裕はないというケースも多いものです。
物が多い、要不要の判別がつかない場合は時間を要する
遺品整理に時間がかかる理由としては、整理する対象のモノが多い、取っておくものと処分するものの判断をしてくれる人がいないといったことが考えられます。特に高齢者の遺品整理の場合は、溜め込んでいる遺品の量が非常に多くなりがちなので、整理をする人の負担は計り知れません。
大方のものを処分するにしても、遺品を一つひとつ確認して取っておくものを決めるというのは大変な作業です。ゴミとして出す場合は、ゴミの分別や袋詰め、そしてゴミ回収場所に出しに行くという作業が必要です。一般ゴミに出せないものは、粗大ごみの申し込みをしなければなりません。不用品回収業者やリサイクルショップを利用する場合は、別途スケジュールの調整が必要です。
大変な労力と時間がかかる遺品の取捨選択
自分以外の人が大切にしていた品の価値はわかりにくい
持ち主がいなくなった品の取捨選択は非常に労力を要する作業です。遺品整理の過程で、骨董品や美術品などが出てきたとしても、その価値を正しく理解している人は極めて稀です。故人にとって大切なものなら取っておきたいと考えたとしても、自分以外の人が大切にしているものの価値はなかなか分からないでしょう。
また、仏壇や神棚、写真や人形、日記なども判断がつかないという人は多いのではないでしょうか。経験者のなかには「思い切って処分してしまったけれど、処分してよかったのだろうか」など後悔の念を持ち続ける人も少なくありません。
居住していない場合はさらに時間を要することもある
「現在自分が住んでいない家」の遺品整理を行う場合は、余計に時間がかかることになります。まずは現金や預金通帳、貴金属などを確認しようと思っても時々しか訪れない家の品のありかは把握していないという人のほうが多いはずです。
探しながらの片付けは、自分の家を片付けるよりも時間がかかってしまうことが一般的です。週末を利用して一戸建ての実家の遺品整理をするには、最低でも半年、長いと1年以上かかることもあります。
気持ちを整理したい時期に遺品整理を
これほど多くのエネルギーと時間のかかる遺品整理は、自分の気持ちを整理したいと思ったタイミングに行うのが最適です。法要や各種手続き、相続にかかわる問題の解決など優先すべき事項がすべて終わってから整理する方が負担は少ないと考えられます。
ただし、相続税の申告と納税は、故人が亡くなってから10カ月以内に行わなければなりません。できるだけ、それまでに遺品整理を完了しておきたいものです。
遺品整理業者に依頼する場合の所要時間は
自分で遺品整理をするのが難しい人は、遺品整理を代行してくれるサービスを利用することを検討してみるのもよいでしょう。
部屋の間取り別の時間目安
業者に依頼する場合の作業にかかる時間は、ワンルームで平均2時間~3時間、2LDK以上の間取りになると6時間~8時間といわれています。基本的に業者は1日の営業時間内に作業を終わらせるよう段取りを組んでくれます。しかし、ゴミ屋敷のような家や、殺菌や消毒などの特殊清掃が必要なケースではもっと時間がかかることもあります。
遺品整理の依頼内容でも作業時間は変動する
作業時間は依頼内容によっても大きく異なります。部屋にあるすべての遺品を搬出し処分するというケースや、買い取れそうなものだけを買い取ってほしいというケースであれば、作業は数時間で完了することも多いようです。一方、思い出の品や預金通帳、貴重品など特定の遺品を探し出し分別するといった丁寧な作業を依頼する場合は、その分だけ作業時間が長くなります。
遺品整理以外のサービスを依頼する場合は別途時間がかかる
遺品の整理だけではなく、クリーニングを頼んだ場合は別途時間がかかります。賃貸住宅の原状回復作業や、念入りなハウスクリーニング、犯罪現場や自殺、孤独死などの部屋を清掃する特殊清掃ではさらに時間がかかると考えてください。
実際の所要時間は、建物の大きさや建物の構造、整理する遺品の種類・量によってさまざまです。遠方から遺品整理場所に出向く人の場合は、正確な所要時間を知りたいというニーズもあるでしょう。
そのようなケースでは、事前に訪問見積をしてもらうのが安心です。業者に依頼する場合は自分で整理するよりも費用はかかるものの、エネルギーと時間を節約できることは大きなメリットと言えるでしょう。