孤独死の遺品整理で行う清掃は普通と違う?

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孤独死が増えているといわれています。高齢化や結婚しない人の増加、他人に干渉しない都市的なライフスタイルも孤独死の増加に拍車をかけているようです。

孤独死に良いイメージを持っている人はなかなかいないかもしれませんが、孤独死につながる生活環境は個人の価値観によるところが大きく、必ずしも悪いとは言い切れません。しかし、近くに死後のことを任せられる家族がいる人の場合と、孤独死をした人の場合とでは遺品整理の大変さには大きな違いがあります。

今回は、孤独死をした人の遺品整理で行う清掃について詳しく説明していきます。

孤独死の遺品整理と清掃は専門業者に任せよう

孤独死は「自宅で誰にも看取られることなく一人で死ぬこと」と解釈されることが一般的です。孤独死をする人の多くは一人暮らしのお年寄りで、超高齢社会の日本では今後も孤独死をするお年寄りは増加していくと見られています。遺品整理に関しては、亡くなった人が孤独死であろうとなかろうと関係ないように思えるかもしれません。しかし、孤独死をする人の問題点には2つのことが挙げられます。

遺品整理に時間や手間がかかる可能性

まず、普段から近隣の人や友人・知人、親戚との交流が少なく、自宅にあるモノを把握している人がほぼいないため、通常の遺品整理よりも時間や手間がかかってしまうことです。

専門業者による清掃を要する可能性

もうひとつは、たいていのケースで第三者に発見されるまでしばらく時間が経っていることが挙げられます。亡くなってから発見されるまで日数が経っている場合、季節によっては遺体の傷みが進んで、室内が汚れていたり害虫が発生していたりすることもあります。部屋に腐敗臭が充満している場合は、一般的なクリーニングではきれいにすることができません。部屋をきれいにするために、特殊な薬剤や清掃技術を用いて、清掃や消臭、除菌作業を行うことになります。

最適な方法で遺品整理、清掃を

本来、遺品整理は遺族が行うものですが孤独死の遺品整理とクリーニングは専門業者に依頼するのが適切です。なぜなら、孤独死をした人の部屋はひどい状態になっていることが多く、到底遺族が片付けできるものではないからです。また、孤独死の現場はモノが散乱して汚れた部屋であることも多いので、衛生的に良い状態とは言えないこともあります。特に現場が賃貸物件であった場合は、のちにトラブルに発展しないように最適な方法で室内をクリーニングするのがよいでしょう。

特殊清掃の現場ではどのような作業が行われている?

清掃

ケース1:1DKマンションのキッチンの特殊清掃

たとえば、1DKのマンションのキッチンで亡くなり、死後3週間経ってから発見された孤独死をした人のケースで現場の作業風景を見ていきましょう。本件では清掃業者が部屋に入ったとき、体液がキッチンの床面全体に広がっていたといいます。部屋には強烈な腐敗臭が漂っていたそうです。

清掃に入る前には家財道具を搬出し、臭いの染みついた畳、クッションフロアを剥がします。その後、臭いの元となる脂分を徹底的に取り除くため、特殊な薬品で体液のついている部分を洗浄しました。数日後に消臭できているかどうかを確認するため再び部屋を訪れたところ、消臭は完了していたもののハエが大量に発生していました。

特殊清掃時には害虫の駆除も行うものの、その際に狭い場所に隠れていたウジ虫は成虫になることがあるようです。消臭確認をするときに害虫駆除をもう一度行って、このケースの特殊清掃は完了しました。

ケース2:ワンルームの特殊清掃

真夏のワンルームで死後3週間経過後に発見された孤独死のケースでは、数日にわたる長時間の消臭が必要でした。夏場であったため遺体の腐敗が早く、皮膚や髪の毛、身体の一部が床に張り付いていたということです。害虫が大量に発生していたので、最初に害虫の駆除を行います。

体液がクッションフロアの下にある基礎部分にまで染みこんでいたため、強力な洗剤を何度も流し込んで洗浄を行いました。その後、家財道具をすべて撤去し脱臭しています。1日おきに臭いの状況を確認し、腐敗臭が完全になくなるまで脱臭を繰り返しました。

ハウスクリーニングと特殊清掃は別物

通常の遺品整理に伴うハウスクリーニングは、台所やトイレなどの水回りの清掃や、庭の手入れ、エアコンの洗浄といったメニューが一般的です。遺品整理という場面に限らなくても、こうしたサービスを利用したことがあるという人もいるでしょう。

特殊清掃は原状回復の側面が強い

一方、特殊清掃は、このようなハウスクリーニングとはまったく性質が異なっています。特殊清掃は使用に堪えられなくなった部屋を使用できる状態に戻す原状回復の側面が強いと言えます。一般的なハウスクリーニングとは異なる性質を持っているため、豊富な専門知識と経験を持っている業者に依頼するようにしましょう。あわせて、現場の状況に照らして最適な清掃方法を提案し、明確で分かりやすい料金体系を提示してくれる業者を選びたいものです。

料金について、特殊清掃は作業内容が過酷なものであるため、決して安いとは言えません。遺品整理業者は、間取りや作業時間、遺品の量によって見積をしますが、特殊清掃業者は作業内容で見積をするため、故人の家の状況が悪ければ費用は膨らみます。

悪質な業者には注意

しかし、なかには遺族感情に付け込んで、法外な価格を提示する業者もいることを覚えておきましょう。作業終了後に追加料金が発生したり、清掃状態が不十分で賃貸物件の場合に管理会社や大家から修繕費用を請求されたりすることのないよう、業者選びが肝心です。契約前には必ず作業内容と料金について詳しい説明を聞き、納得してから次のステップに進むようにしてください。

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